多読(extensive reading)のススメ
多読 というメソッドが英語学習に有効であるということは、『レベル別、英語の勉強方法』でも触れました。
これは自分の経験上、そして子どもの英語の上達ぶりを目の当たりにして実感しています。その有用性を謳った論文も数多く、多読はイギリスで小学校教育の現場に導入されているという実績からも、自信を持っておススメできる英語学習方法のひとつです。
なんといってもネイティブ・スピーカーが基礎確立+英語上達のために実践している勉強方法なわけですから。
そしてこれは、英語のレベルが低いひとほど効果があると思います。全レベルで有効であるとしながらも、わたしが多読教材を『厳選!イギリス英語教材(英語初級~中級用)』で特に紹介しているのはそのためです。
多読とは何か?
多読とは、読んで字のごとく「多く読む」ことです。ただし、ただ習得ターゲット言語で書かれたものをたくさん読めばいいというものではありません。
スラスラ読めるレベルの本をたくさん読む
こととされています。
そのために、興味のある「読みたい」と思える本を自分でえらび、一語一句の意味にこだわらず、全体的な意味がつかめるように読むこと。
そして「たくさん」を達成するためには読書を楽しむことがキーとなるので、内容がつまらないと感じたり レベルが高くつっかえながらの読書になってしまったら、すぐに他の本に切り替えるようにと推奨されています。
ネイティブ・スピーカーの母国語学習
この『多読』の有効性は、イギリスの小学校でも導入されていることからも証明できると前述しました。日本でも、小学校レベルの国語では構文などの文法からははいらず、まず読書量を増やすことが奨励されますが、それと同じことです。
では、イギリスではどのように実践されているのか?
子どもの通っているイギリスの現地校では、先生が各生徒の多読レベルを判定。そして各自『読書記録ノート』を持たされます。生徒は教室にたくさんあるレベル別に色分けされた本のなかから自分のレベル内で好きな本を選び、読書の進展状況をノートに記録。たまに先生が個別に音読させてその上達ぶりを確認します。ノートに記入されるのは例えば「9月15日『メリー・ポピンズ』のp5~p7を読んだ。“メリー・ゴー・ラウンド”という単語は初めてだったのかな?」など。家での親への音読が宿題として出されることもありますが、そのペースは自由。1章でも5ページでも、気分で好きなだけ・・・と、至ってストレス・フリーです。
その「強制されていない」感と先生に「もう次のレベルにいけるよ」と言われるたのしみが幸いしてか、気がつくとたくさん本を読んでいて、読書記録ノートも1年で何冊か使い切ってしまいます。
吸収のはやい子どもとはいえ、日本から来て ABC が分からなかったレベルから、「映画(邦画)は日本語を聞くよりも、subtitle(英語字幕)を読んじゃうね」と言うようになるのもあっという間でした。
多読のポイント
要点をまとめると:
- 単語も文法も、容易に読めるレベルのものであること
- 多くても、初心者には1ページにつき分からない単語は1~2つ、中級者には4~5つに抑えることを目安とする
- 幅広いトピック、たくさんの読み物のなかから選ぶこと
- 興味の持てる本が確実にみつけられるために
- 読む本は学習者本人が選ぶこと
- すらすら読めて興味が持続できるように、レベルが合っていなかったり飽きたりなどしたら すぐに他の本にのり換える
- できるだけたくさん読むこと
- 読書量がものをいうので、せめて1週間に1冊のペースで進めていく
- じっくりよりもサクサクに重きをおくこと
- そのためには分からない単語があっても辞書をひかない。知らない単語は飛ばして読むか、意味を推察するにとどめる
- 楽しみ/学び/全体的な意味把握のための読書であること
- 細部までの理解を追及しない
- 個人のペースで静かに読むこと
(参考文献:Extensive Reading Activities for Teaching Language (Cambridge) ほか)
つまり、日本で一般的な、いわゆる上をめざして自分にムチ打つタイプの苦行的勉強方法とは対極にあるメソッドになります。
多読を始めるなら、ORT か PR
多読をはじめるなら、多読を体系的に取り入れた、おススメな大御所的教材が2種類あります:
・Oxford Reading Tree
・Penguin Readers
「どこから手をつければいいか分からない」なら、まずはここを出発点とするのがいいでしょう。システムがレベル別になっているので、いったん自分のレベルが分かれば、あとはそのレベルのなかで本を選んでいけばよいだけなので楽チンです。
まずは「たぶん自分のレベル」と思われるのを1冊+その上と下のレベルからも1冊ずつ、計3冊ためしに読んでみます。そして上記の多読のポイントを念頭に、自分のレベルを確定。その後はバラでそのレベルから買うもよし、セットで箱買いするもよし。バラでは1冊300~700円ほど、セットだと6冊で2000円台くらいです。
では、2社のうちどちらを選ぶか?右サイドバーをごらんの通り、Oxford Reading Tree(オレンジ)は 絵本的で子ども向け、Penguin Readers(グリーン)は 内容的に大人向けになっています。
- 英語初級者/絵本が好きなひと/お買い得感がほしいひと(子どもにも読ませれば一石二鳥♪)
- ⇒ Oxford Reading Tree
- 英語中級以上のひと/中身の濃いものが読みたいひと
- ⇒ Penguin Readers
を選びましょう。
でも実際のところ、子ども向けとはいえ The Magic Key シリーズ なんかは、子どもよりわたしのほうが楽しみに読んじゃってたり

それ以外の多読なら
そういった枠にとらわれず自由に読みすすめていきたいのであれば、英語初心者ならば アマゾンの『ネイティブ・スピーカー 1~6歳児用の本』や『ネイティブ 1~3年生用』
などから。
そして、英語中級者ならばぜひ、日本文学の英訳されたものを試してみてください。ベースが日本文学なので取っ付きがよいのと、英語ではこの日本語はこう表現するんだ~という発見があって、おもしろいです!夏目漱石の Botchan(坊ちゃん)、英語で読むと新鮮でした。
英語上級者なら Shank’s Mare(東海道中膝栗毛) なんか、おすすめ!
The Tale of Genji(源氏物語)は挫折…個人的な感想では、「あな、あはれ」的なものよりユーモア系のもののほうが読みやすいです。
ストレスを感じずに言語上達できるのなら、それにこしたことはないですよね。


